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日常であった事とか拍手のお返事を載せていくと思います
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 サモンナイトで、クラフトソードで、シュガプラです。

 将来への期待という妄想が止められない二人のssです。

 お暇な方はどうぞです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ふっと投げられた質問。
 つい、さらっと答えてしまった自分。


 気づいた時には、銀の匠合で集まっていた女子の面々は、各々口にしていた食べ物や飲み物を一斉に噴出しかねない状況になっていた。



「それならさ、アネキはボクよりずっと強くて格好良いんだから、キ、キスとかもうすませたの?」
「うん。シュガレットとね」



 ―――。

 遅れて、自分が何をさらっとうっかり口から出してしまったのか気づいたプラティは、ひぐぐっと頬をひきつらせ、久しぶりに口にしたアマリエ特製のデザートに気を奪われすぎていた自分を後悔した。

 確か、いい女はどうこう言っていたサナレにハリオが反発。険悪になりかけた所をハリオの双子の妹ヘリオが止めて、ラジィが興味深げにプラティに聞いた、という流れだったのはプラティにも分かっているが、実は内容はほとんど右から左だった。
 女の子同士でパジャマパーティのノリが、なにやらとんでもない爆弾を落としてしまったと、当のプラティは自分に集まる視線に気まずげに身を捩った。

「あ、アネキ? 今、何て……」
「いや、えっと」
「ち、ちょっとプラティ、あんたまさか、自分の護衛獣とすでにそんな仲になってるんじゃ……?!」
「わー! 違う違う! 誤解だから!」
「なっ、何が誤解や! 今はっきりと自分の口からあの女とキスしたとか言っとったやん!?」
「だっ、だからそれは―――」
「落ち着いて下さいお姉さま。……でも、私も詳細は気になります」

 じぃっと見つめてくる瞳に、プラティは情けないぐらい慌てる。
 剣の都の女の子たちは、普通の町の女の子たちと違って腕っ節も精神力も一回り以上は強くて厄介だと、プラティは自分も含めつつ知っていたし、さっきぽろっと零したそれが掛け値なしの真実であるのも災いして、プラティはひたすら困っていた。
 救いは、当の護衛獣が現在、プラティを甘やかす一環とアマリエに負けてたまるかというライバル心から、銀の匠合一階にある台所を借りてデザート作りに奮闘していてこの場にいないという事。

「……そんな、アネキが、アネキの貞操が」
「ちょっ?! 貞操って何?!」
「あんの女ぁ、親友でライバルである私ですらまだしていないのに!」
「当たり前でしょうが!」
「……はっはっは、護衛獣の分際で、我らが黒鉄の鍛聖を襲うとかいい度胸やんかッ!」
「ハリオ目が怖い! ってドリル! ドリルしまって!」
「……私とお姉さまだって、まだですのに、許せません!」
「止めてよヘリオー!?」

 ギュルルル……と不気味に稼動するドリルと、雷属性のナックル装備のラジィと炎属性の剣装備のサナレ。
 プラティとしては、もう何が何やらで慌てるしかできない。
 だがよく見れば、ラジィは涙目で唇を尖らせ、サナレは頬を膨らませて真っ赤、ハリオとヘリオは同じ顔を同じ憤りの表情で染めて、皆が一斉にプラティを攻める様に見ているのだが、プラティには分からない。

 ただよく分からないけど、自分にとって大切な護衛獣であり、それ以上に大事な友達であるシュガレットが危ない……! とそれだけで頭がいっぱいになっている。

 全員が全員、この幼き黒鉄の鍛聖に大なり小なりの淡い好意を抱いているが故の嫉妬だなんて、気づきもしていない。
 
 ボクのアネキなのに、私のライバルの癖に、私たちの目標なのに、と。そんな視線を、亡き父に憧れ、ひたすら鍛冶に生きてきた、まだまだ人生経験が薄い13歳の少女には分かりようがなかった。

「とっ」

 だからプラティは、追い詰められた顔で寝巻きに上着を羽織るだけという格好で急いで場を飛び出した。
 背中に響く非難の声を「ごめん!」で交わし、自分の部屋から追い出される形で外に飛び出す。



「あら、プラティ様、見て下さい! とってもおいしいプリンが―――」
「シュガレットちょっと来て!」
「はい?」


 ちょうど、
 出来上がったばかりのぷるぷるしたプリンを持って満足げに顔を輝かせていたシュガレットは、かつてない程に慌てている婚約者の姿にきょとんとして、逆らう事もなくそのままプラティに引きずられていく。
 シュガレットは首を傾げつつも、自室から響く何やら不穏な空気と叫びに、ちらりとプラティを見て―――くすり、と困った様に笑う。


「プラティ様」
「なっ、何? 今はとにかく逃げないと!」
「まぁた、私のプラティ様は皆様の乙女心を傷つけたのですね」
「――えっ?!」


 シュガレットの手を取り、ひたすら前を見ていたプラティは驚いて振り返る。
 ふよふよと浮いたまま、片手にプリンを乗せた皿を難なく持ち、シュガレットはプラティの驚いた顔に優しく微笑む。

「……えーと」
「ふふっ、私のプラティ様が、こうやって逃げるのはそういう時ばかりですから」
「…………」

 微妙に複雑な気持ちになってしまうプラティ。
 その何とも言えない顔を見て、シュガレットはにこにこと微笑む。内心可愛いです♪ なんて悶えている。
 プラティは、私ってばそんなにしょっちゅうこんな目にあってる? ……うん、あってる気はするけどさ。
 と、心からとほほな表情で落ち込み始めたのを見て、シュガレットは微笑んだまま、プリンをスプーンですくう。

「うふふ、プラティ様」
「?」
「あーん♪」
「へ」

 暗い夜道で、今さっきまで逃避行みたいな事をしてて、訳がわからずも部屋に帰れないまま。
 だけどシュガレットは慌てず騒がず、プリンを差し出してくる。
 色々と急すぎて思考が白く染まりつつあったプラティは、思わず口を開けて、ぱくりと、その舌触りの良いプリンを飲み込む。
 とてもおいしかった。

「おいしいですか?」
「……うん、おいしい」
「ありがとうございます♪ それで、どうしてプラティ様は逃げていたのですか?」
「え? えーっと」

 しゅうっ、と炭酸が抜ける様に自身から張り詰めていた気が抜けて、甘い味に落ち着いて。
 プラティは頬をかいて、改めてシュガレット見上げる。
 普段は「私はプラティ様の妻ですから!」と危ない発言が心臓に悪い彼女だけど、プラティはそんな彼女を心から信頼していて、本当に大事なパートナーだと思っている。
 だから、こういう風に、ゆるやかに荒れた心を落ち着けてもらえると、変にどきどきしておかしな感じだと、プラティは熱くなった気がした頬をごしごし擦る。

「……ちょっと、変な感じに会話が弾んじゃって」
「はい」
「それで、うん。シュガレットと私の話になってね。何でか皆が怖かったからつい逃げちゃった」
「まあ」

 くすくすと、鈴が鳴る様な耳に心地よい声。
 聞き惚れそうで、ついでにさっきの会話を少し思い出して、プラティは気まずくなる。

(そーいえば、私のファーストキスってシュガレットなんだよね)

 つい、まじまじと彼女の唇を見てしまう。
 笑みの形のそれは、柔らかそうだった。

「プラティ様」
「あっ、うん」
「それでは、暫くはお部屋に戻れないようですし、久しぶりにあそこにいきませんか?」

 ほのかに期待をして、頬を染めるシュガレットは可愛い。
 だから、プラティはどぎまぎを一旦押し込めて、すぐに頷いた。
 そのまま、シュガレットの手を握る。

「♪」

 そうしたら嬉しそうにほころぶシュガレットの笑顔に、ふわりと胸が温かくなる感じを覚えて、プラティの方も嬉しくなる。

 ぎゅっと、少し強くて手を握って、シュガレットに歩きながらプリンをそっと食べさせて貰いながら。

 ふと誘われるように空を見上げた。


 眩しいばかりの月が、緩やかに浮かび上がり、綺麗だと素直に感動した。
 

「とても綺麗ですね」
「……うん」
「きっと二人で見ているからですね」
「……うん」
「これからも、たまには一緒に散歩して下さいね」
「……うん」


 きゅっといつの間にか手だけではなく腕にも抱きつかれて歩きながら、プラティは自然と頬が緩んでくるのを感じていた。
 日頃の忙しさとか、仲間たちの理不尽さとか、シュガレットの優しさとか。色々が悪くなくて。

「ねえシュガレット」
「はい、プラティ様」
「明日は新しい武器を作ろうか?」
「はい♪」


 綺麗な月の下を、大切な護衛獣と歩きながら。
 ほんのりと芽生えて育ちつつある何かを胸に、ただただ無意識に少女は彼女の手を取る。

 彼女を隣に置く理由を、
 彼女の傍にいられる理由を、
 彼女を喜ばせる理由を、

 知らない内に考えて。
 それに今はお互いに気づかずに。


 二人は月の下、お気に入りの散歩スポットでプリンを食べる事にした。
 
 
 
 
 
 
 
 
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