日常であった事とか拍手のお返事を載せていくと思います
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かなめもssです。
いえ、うっかり本屋で見つけて買って読んだら、ね。
ボーイッシュかつお金が大好きなひなたさんと、幼女で可愛くてしかし計算高くて腹黒い代理。のコンビが好きになった。
本編でもっと絡んで欲しいなぁと。妄想は止まりません。
ちっちゃいなぁ。
なんて今更の感想を僕は抱きながら、生温くなったお茶で喉を潤す。
学生たちには天国な夏休みの午後も、浪人生の僕には関係なく、日常と変わるところといえば、代理とかなが真昼間から家にいるとかそれぐらい。
まあ、だからなんだろうけれどね。今の状況というか体勢は。
「…………ん」
っと。
細い声に、僕は無意識に捩っていた体を戻し、僕の足を枕にお昼寝中の代理の顔を覗き込む。
そこには、普段の悪い顔とか猫かぶりとか一切感じさせない、ただの子供の寝顔があるだけで、僕は起こさなかったみたいだとほっとする。
僕と代理以外は私用で出かけている為、僕は暇つぶしで代理の宿題風景を見て茶々をいれたりたまに教えたりと会話を楽しんでいたのだけど、代理は算数の問題を終えるとそのまま目を擦りだし、僕を見あげて「丁度良いわ。あんた枕になりなさい」ときた。
……まあ、僕は別に構わないし、いくら出す? との冗談を一睨みで潰され、結局はロハで乙女の膝を貸してあげていた。時間にしたら、軽く二十分ほど。
代理はすよすよと規則正しく夢の世界へと旅立ち、僕はその眠りを守っている。
「……なんだかなー」
で、その寝顔を見つつ、僕としてはちょっと退屈だったり。
足も少し痺れてきたし、いい加減起こしちゃおうかなーとか、実際行動するつもりもないのに考えて首を降る。
このちっさい頭の中で色々と考えて、ちっさい身体を頑張らせて僕たちの居場所を守ってくれる小学生に、いくら僕だってそんな意地悪はしない。
それに、代理から膝を貸せ、なんて甘えてくれる事自体がレアだし。
はるかがいたらそれだけで狂喜乱舞の気持ち悪い顔になりそうな幸運を、大して有難くも感じないけれど、それなりに喜んで享受しようと思う。
そんで、後でこのしっとりした頬の感触をはるかに自慢して金をせしめてみよう。
「……悪い顔してるわね」
「!」
バッと下を見ると、目を瞑ったままというか、寝顔のままの代理がいた。
え?
寝言?
考えていた事が事なので、僕はバクバクとうるさい心臓を抑えながら代理の顔をさっきよりも注意深く覗き込む。
「……だ、代理、もしかして狸寝入りって奴?」
「…………」
返事は、無い。
だが、代理なら小学生の内から寝息とかその他を駆使してぐっすり寝ています、なんて演技するぐらいの芸当をやってのけても不思議はないので、僕は少し不満で、それ以上に面白くなって、ははーん? とにやりと笑う。
「代理~? 本当に寝てるの~?」
「…………」
つんつんっと頬を突いたら、むずがる様に払いのけられる。
でも、目は開けない。
あくまで眠っていると言いたい訳で、僕としては良い暇つぶしができたとにやにやが止まらない。
「代理?」
「…………」
「ふーん。本当に寝てるんだー」
「…………」
「じゃあ、いつも頑張ってる代理に、ちゅーしちゃおっかなぁ?」
ぴくん、と肩が揺れる。
僕はくっくっくっと笑いを押し殺しながらも、代理の可愛らしい動揺を更に煽り、からかうようにしてそっと頭を撫でる。
「……ん」
代理は、ほんのりと赤く染まっていく頬を意識しているのかいないのか、それでも頑固に寝た振りを貫いている。
(うわ、面白い……!)
僕の悪戯心が、またむずむずと刺激される。
大抵はかなに向けられるそれを、今は代理に向けて、尚且つこんなに上手くいったのは初めてだから、調子にのってしまう。
「んー、どこにしようかなー?」
「……っ」
「額とか、ほっぺとか、耳とか、首とか?」
「………」
いちいち僕の言葉に反応して揺れる指先を見て、僕の足を枕にしているのだから当たり前だけど、その動揺はダイレクトに僕に伝わり。
僕はむっふっふと代理に顔を寄せる。
「それとも」
「……ッ」
「唇、とか?」
つん、と指をそこに当てた。
「ッ?!」
――――さて、そろそろかな?
と。僕は代理が「いい加減にしろー!」と起き上がって殴る瞬間を予想し、さっとガードをする。
きっとすぐにでも代理の足なり手なりが飛び出してくる筈だ!
「…………」
「…………」
「……………………?」
「……………………」
……あれ?
片腕でガードする馬鹿なポーズのまま、僕はぽけっとして調子が外れてしまう。
指先に当たる代理の唇は、きゅっと引き締まっていて、今だに怒鳴る気配がない。
……まさか、
まだ、寝た降りを続けるつもり?
流石に、かなじゃないんだから。……流石に、ねぇ?
僕が、色々見越してからかっていた事ぐらい分かっているだろうに。
なんで?
代理は、僕の指の感触に怯える様にしながらも、耳までいつの間にか赤く染めて。瞼を震わせて丸くなっていた。
いつの間にか僕のズボンを握る両手も、力が入りすぎている。
「……代理?」
どうにも分からなくて、小さく呼んで。
そうしたら、むにゃむにゃ、と。
まるで、分かりやすい凄く適当な寝言っぽいものを、代理は呟いた。
「……ま、ぁ。……むにゃ……膝枕代に……。……その、私だって……タダで、させてあげるわよ……キス、ぐらい」
との事。
「…………」
僕は内心「えっ?!」と固まって、そのご褒美で喜ぶのははるかだけだろう?! と焦りながらも、代理の様子を見れば、その言葉を出すのにどれだけ勇気を振り絞ったのか分かってしまい、息を呑む。
僕は、頬をかいた。
何か変な事になってしまったと思いながらも、僕の心臓は馬鹿みたいに活動して、代理の顔を見れば代理も同じみたいだと簡単に予想がついて。
僕は、覚悟を決める事にした。
「……えーと」
「……」
「……じゃあ、遠慮なく」
「……ん」
微妙に照れるなぁ……と、代理の頭の下に手を置いて、そっと持ち上げながら顔を寄せる。
近づけながら、この場合はどこに口付けるべきだろう? などと考えて。ポピュラーな感じに頬にでもしとくかな。
と、僕は代理の小さな頭を更に持ち上げる。
「……ん」
触れる瞬間。
頬に当てられる小さな手の感触。
少し熱っぽい程に、汗ばんでいる感触。
(え?)
曖昧な違和感。
気づいた時、僕の唇はゆるやかに軌道修正されていて、僕が驚いて瞳を開けると、そこには代理の赤い顔がぼやけて映る。
―――――。
くちゅり、と水音。
僕は、頭を真っ白にしながら。
ぼんやりと、代理は舌も小さいんだな、なんてずれた事を考えていた。
……。
えーっと。
そして正座中の僕。
目の前には代理。
代理も正座して、僕と目を合わせようとはせずに、だけど逃げる事もなく僕のズボンを握っていた。
「あ、あのさ代理」
「……なによ」
「いや、えーとさ」
沈黙に耐え切れずに、かといって何を言っていいのかも分からず。僕は混乱している。
でも、これは有耶無耶にしていい話ではなくて、意を決して、首を数回降ると代理をまっすぐに見つめる。
「……!」
「あのさ、代理はどうして、僕に……じゃない。僕と、あんな事したの?」
どこかムッとしている様で、でも照れている様にも見える、素直じゃない代理の目を覗く様にして訊く。
「……」
代理は、僕を少し睨む様にして、小さく溜息を零す。
「ひなた」
「うん」
「……鈍感」
「……え」
え? えぇえ?
鈍感?
今、そんな単語が出てくるって、それって、つまり……?
「だ、代理」
「何よ」
「……もしかして、僕の事を好きだったりする? その、ユメたちみたいな意味で」
「…………」
代理は、一瞬押し黙って、ぷいっと顔を背けてしまった。
そして僕をこれまでにないぐらい強く睨み付けると。
「そんな訳ないでしょう。気まぐれよ」
なんて、わざと冷たく突き放す様に言って、僕から逃げる様に、自分の部屋へと走っていった。
「……ねー、はるかー」
「あら、どうしたのひなた? 調子でも悪い~の?」
「……いや、なんていうかさ」
くぴくぴと水の様に酒を飲む、かなや代理の前では変態だが普段はそこそこのはるかを前に、僕は頭を抱える。
「……わっかりやすいツンデレな反応されて、一応は愛の告白をされたら、はるかならどうする?」
目を丸くするはるかを前に、だけど他に相談する相手もいないので、返事を待つ。
はるかは、すぐに笑った。
「相手によるわ~ね」
「……そっか」
「お幸せに~」
「……うるさいぞ」
短いけれど、背中をそっと押して貰えるには十分な時間だった。
頭を掻いて、気だるげに伸びをして、僕は「よし」と小さく決意する。
「ひなた~」
「うん」
「私も狙ってるんだから~、泣かせたりしちゃ、駄目よ♪」
「……。……本当、どこまで分かってるのか分からないから怖いよ」
僕がげんなりすると「いやだわ、私たち仲間じゃな~い」と鳥肌モノの台詞を言われたので首を絞めて揺らしつつ、小学生に、まあ、これからすることを考えると、仲間かどうかと問われれば仲間じゃないのかと落ち込みそうになったので、急いで思考を散らした。
「ん。じゃあ行ってくる」
「いってらっしゃーい」
そういう訳で、僕は代理に告白、まがいな事をしようと思う。
……まあ。うん。
キスして分かったけど、どうやら僕、代理の事、けっこう好きだったみたい。
まあ勿論。
僕ははるかとは違うので、代理がちゃんと成長して大人になるまでは、清く正しくお付き合いさせて貰うつもりです。
それに多分。告白は二桁ぐらいしないと、あの素直じゃなくて意固地で一人で頑張る所のある小学生は、オーケーしないだろうし、ね。
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