日常であった事とか拍手のお返事を載せていくと思います
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久しぶりで短くもこけね。
正直、夏星は慧音先生大好きです。妹紅も大好きです。
脳内で他に類を見ない超がつく純情いちゃいちゃかっぷるになっています!
冴え冴えとした月光の下、ふっさりとした尻尾を知らずに振る獣の少女。
見事に丸い月を見上げ、団子を齧りながら立派な竹に背もたれている赤い少女。
静かに微笑みながら、『今日は月が綺麗だね』と、二人の少女は穏やかに月見をする。
「年に一度ぐらいは、こういう夜も悪くは無いな」
「ったく、慧音は働きすぎなんだよ」
先端は鋭く、触れれば硬い角を指先で撫でながら、赤い少女、妹紅は苦笑する。
角を生やした少女、慧音はそれにただ嬉しそうに微笑み、妹紅を見上げている。
竹林が奏でる笹の葉が、サラサラと二人の静かな時間に水流の様に響きわたり、それが心地よかった。
「……そうだな。満月の夜はこれ幸いと、幻想郷の歴史を纏めていたから、ほぼ寝ていないし、そうなのかもしれない」
「だからそうなんだって。まったく」
「……うん、すまないな」
自分の体を案じてくれる友人に感謝を込めて慧音が微笑めば、妹紅は頬をさっと染めて、ふいっと視線を逸らす。
小さく「……うぅ、可愛い」とか「けーねの鈍感」とか呟くが、それは本当に小さく、笹の音で静かに上書きされた。
「あーもう! けーね!」
「はい?!」
急に声を荒げる妹紅に、慧音はぴこんと尻尾を反応させながら背筋を伸ばす。そんな仕草がいちいち妹紅をぐらつかせるが、慧音に自覚はない。
妹紅はぎゅっとしたい……! という欲求を押し込めながら、ざくざくと慧音の隣にまで荒く歩み寄り、そのまますとんっと座り込む。
慧音の目の前に、むっすりとした妹紅の赤い顔がやってきていた。
「もこぉ?」
「……つまりさ、慧音は、働きすぎだから!」
「? あ、ああ」
「……少しは、体を大切にしろっていうか、や、休めって事だよ!」
きょとんとして。
目の前の友人の赤い顔を見て。
「!」
彼女が、予想以上に深く自分の身を案じている事がひしひしと伝わり、ボッ!! と、照れがうつってしまう。
慧音の頬も妹紅に負けずに赤くなる。
よくは分からないが、彼女の心臓はドクドクとうるさくなった。
「……あり、がとう!」
「……お、おおう、別に、お礼を言われる様な、事じゃないよ!」
「そ、そっか。うん」
「そ、だよ! うん!」
お互い、まるで睨み合う様に顔を向け合ったまま、がちがちになる。
そして、油が切れた機械の様にぎくしゃくと、お互いの顔から目を逸らし、どこか呼吸困難に陥りながらも、言いたいことが言えたと満足そうに、口元をむずむずさせる。
「……け、慧音」
「……む?」
「ま、あ、そういう訳だから、私が訪ねてきたら、その時はちゃんと休めよ」
「……ああ、分かった」
「ちゃんと、休んで、私にお茶を出したりご飯を作ったりして……話し相手にぐらいは、なってくれよな」
「……うん。……うん♪」
月の下では、嘘は隠れずらい。
二人は普段は言えない、小さな本音を交えて、背中合わせに互いを感じる。
彼女の我侭は、望むところで、自身の望みでもあるからと。
そんな笑顔を浮かべて。
「夜は、一緒の布団だからね?」
「うん!」
「お風呂も」
「うん!」
「ご飯は、お肉もたくさんがいい」
「……む、野菜もちゃんと食べるか?」
「……ん」
「ならいれる」
「うん」
サラサラと、音が鳴る。
ドキドキと、聞こえない大合唱を覆うように。
「……けーね」
「うん、もこー」
「今から、抱きつくぞ」
「……ど、どんとこいだ!」
「だ、抱きついたら、ぎゅっとするからね?」
「……うん!」
「そ、のまま寝ちゃうかもしれないけど、いいよね?」
「う、ん……!」
「……けーね」
「……ど、どうした?」
「……ぁりがと」
「……こち、こちらこそ」
ぎゅ。
翌朝。
ちらほらと降る、笹の葉に軽く埋もれる、里の賢者と永遠の少女が、筍を取りに来ていた命蓮寺の入道使いの尼さんに発見される。
その様子を見ていた。
実は悪戯を計画していて、ずっと潜んでいた地上の兎は、死んだ魚の目で自身の家族にそこら変の事情を疲れた様に詳しく報告。
永遠亭の面々は、朝食の味噌汁を甘い何かの様にまずそうにすすった。
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